こんにちは。
今回はASDの疲れやすい原因9選というテーマをお伝えします。
発達障害の方には、 易疲労性(いひろうせい) というのがあります。
易疲労性とは、読んで字の如く 通常よりも疲れやすい体質 のことです。
これがあると、通勤など日常の移動時間だけで疲れてしまったり、家事や掃除といった体を使うちょっとした動作でも疲れてしまいます。
その結果、 こまめな休憩が必要になったり、休みの日には全く動けなくなってしまうという状態になる人も多い んですね。
さらにASDの方には、その他にも疲れやすい原因があるんです。
そこで今回は、ASDの疲れやすい原因9選というテーマでお伝えしていきます。
この記事を読むと、ASDの方がなぜ疲れやすいのか原因がわかります。
そして、この記事を読みながら、あなた自身もあてはまるものがあれば、特性理解や対策を考えることにもつながると思いますので、ぜひ最後までご覧になってください。
また、今回の記事の内容はこちらで動画解説もしています。
是非ご覧になってくださいね。
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Contents
ASD 疲れやすい原因9選 1:感覚過敏
1つ目は、 感覚過敏 です。
感覚過敏も読んで字の如く、 感覚(五感)が過敏になってしまって、日常のさまざまな刺激をとても強く感じてしまう状態 です。
代表的なもので言うと、視覚過敏や聴覚過敏が有名ですが、 特に聴覚過敏の特性がある方がとても多い と感じます。
聴覚過敏があると、音の刺激を強く感じるので、大きな音でびっくりしたり、特定の音が痛く感じるということがあります。
ちなみに僕も、食器が擦れる音が苦手で、カチャカチャという音が痛く感じることがあるんです。
この他にも、嗅覚過敏の方だと、電車の中で人の体臭が気になったり、職場の人のちょっとした香水の匂いで具合が悪くなってしまう方がいたり、味覚過敏があると、調味料のちょっとした量の違いも感じ取れたりすることがあります。
視覚過敏は、特に蛍光灯など特定の光に弱く、目に痛みを感じる方もいらっしゃいますね。
また、触覚過敏の方は、洋服の特定の繊維に痛みを感じることがあります。
ASDの方は、まずこういった感覚の過敏によって、それがない人よりも刺激を強く感じ、結果として疲れやすくなるんですね。
ASD 疲れやすい原因9選 2:鈍麻
2つ目は、 鈍麻 です。
鈍麻は、先ほどの感覚過敏とは真逆で、 感覚に対しての感じ方が鈍くなっている状態 。
鈍麻で特に困るのは、 自分の体調の変化に対しても鈍くなり、自分が今、疲れているかどうかを感じづらくなることです。
その結果、本当は少し疲れてきていて、通常なら体の重さや動きづらさ、気持ちの乗らなさを感じてもおかしくないのに、それを感じることができず、いつもどおりに活動してしまい、それが積み重なった結果、ある日どっと疲れたり、風邪などの症状や熱が出たりして、動けなくなってしまう、なんてことも起こったりします。
ASD 疲れやすい原因9選 3:気疲れ
3つ目は、 気疲れ です。
こう言うともしかしたら、発達障害の人って人に共感しないんでしょ?どうして気疲れするの?と思う人もいるかもしれません。
ですが ASDの方は、むしろ人に対して、とても気を遣っている人が多い です。
なぜかというと、学生時代や社会人経験の中では、失言や傷つけるようなことを言ってしまった失敗体験がどうしても起こり得ます。そうした失敗体験を繰り返さないように、

- どんな伝え方をしたらいいだろう?
- これを言うのは問題ないかな?
といったことを相手の気持ちがわからないなりに、とても考えながらコミュニケーションをとろうとしていることが多いんです。
こうなると心の理論などの特性上、相手の気持ち自体はわからなかったり、非言語情報の読み取りが苦手だと、相手の動作や表情から心情を把握するというのが苦手なんだけれども、そんな状態の中でも、どうやって伝えたらいいかなぁ、これは言っても大丈夫かなぁといったことを考えながらコミュニケーションするので、結果として気疲れを起こしてしまうことにつながっています。
ASD 疲れやすい原因9選 4:姿勢保持の苦手さ
4つ目は、 姿勢保持の苦手さ です。
発達障害の方の中には、体幹が弱い方が多いと言われています。
これは生まれつき、筋肉の張りが弱いという特性がある方がいらっしゃるんですね。
体幹が弱いと、イスに長時間座ることができず、寄りかかってしまったり、頬杖をついてしまうことがあります。
この特性がある方は、バランス感覚や平衡感覚に苦手さがあり、バランスを保つということが苦手だったりもしますね。姿勢保持が苦手だと、座っているだけでも疲れたりするので、 学校の授業を聞き続けたり、デスクワークで長時間座っているのも疲れて しまいます。
ASD 疲れやすい原因9選 5:こだわりからくる完璧主義
5つ目は、 こだわりからくる完璧主義 です。
以前の記事で、発達障害の考え方の特徴を公開しましたが、その中で、白黒思考というのを紹介しています。
白黒思考とは、0か100かで考える考え方の特徴で、完璧なものか、そうではないものかというように、 物事や成果物を二極化して考えてしまう ことです。
その中でも、ASDの方は、 こだわりの特性が同時に働いてしまって、結果として完璧なものを追い続けることに陥ってしまう ことがあるんですね。
また、この完璧というのは、自他ともに認める完璧を求めている場合もあります。
なので、自分としてはいい出来だなと思ったものでも、人から「ここの部分が足りないね」とか「もっとこうできない?」というようなことを言われると、その足りなかった部分に焦点がいってしまい、

自分が作ったものは結局なんの役にも立たないんだ
という考え方をしてしまって、その結果として、精神的な疲労につながってしまうことがあります。
ASD 疲れやすい原因9選 6:反芻思考
6つ目は、 反芻思考からくる精神疲労 です。
反芻思考とは、ぐるぐる思考とも呼ばれるんですが、 ネガティブなことを繰り返し繰り返し思い出して、クヨクヨ考えてしまうこと です。
ASDの方の中には、想像性の苦手さや、シングル・フォーカスの特性を併せ持つ方もいることから、反芻思考に陥ってしまう方も多いと言われています。
反芻思考に陥ると、一人反省会をよくすると言われているんですが、過去の自分の発言や振る舞いに対して、

- どうしてあんな風に言っちゃったんだろう
- どうしてあんなことしちゃったんだろう
というように、もう取り返しがつかない過去のことを何度も何度も反省や後悔し続けているということがあります。
この反芻思考に陥ってしまうと、気持ちとしては、 落ち込みや後悔などネガティブな感情の状態が長く続くことになるので、結果として精神面の不調につながってしまう んですね。
ASD 疲れやすい原因9選 7:想像性の苦手さ→不安
7つ目は、 想像性の苦手さからくる将来への不安 です。
ASDの方の中でも、 想像性に苦手さがある方は、自分の将来像をイメージするということが、なかなか難しい ことがあります。
これが苦手な場合、5年後、10年後に自分の生活がより良くなっていくことがイメージできなかったり、自分がこれからスキルアップしていくことや職場でキャリアアップすることがイメージできず、結果として自分の将来がより良くなっていくと想像できなくなってしまいます。
その結果、

- 将来も問題なく生活していけるんだろうか
- お金はちゃんと足りるんだろうか
- 新入社員の採用もしていくのに、自分は会社に居続けられるんだろうか
といったことを考えてしまい、不安な状態が続いて、精神的な疲労につながってしまうんですね。
ASD 疲れやすい原因9選 8:眠りが浅い
8つ目は、 眠りが浅い です。
これは以前、ASDの方の生活面の特徴でもお伝えしました。
睡眠が、浅い眠りと深い眠りに分けられるというのは、すでによく知られていることかと思うのですが、 ASDの方の中には、この深い眠りになることが少なく、浅い眠りの状態が続いてしまう方がいらっしゃいます。 その結果として、夜中に何度か目が覚めたり、睡眠時間はそれなりに取っていても、日中に眠気を感じることがあります。
また、先ほど紹介した感覚過敏の中の視覚の過敏があったりすると、蛍光灯やスマートフォン、パソコンなどの光の刺激によって脳が覚醒してしまって、寝づらくなってしまうことも考えられますね。
ASD 疲れやすい原因9選 9:何をするにも時間がかかる
9つ目は、 何をするにも時間がかかる です。
これはいくつかの原因が考えられるんですが、1つは、ワーキングメモリの苦手さです。
ワーキングメモリは、情報の一時保管・判断・削除を行なっている脳機能のことなんですが、この中でも情報を削除することが苦手だと、 1つの作業が終わったときに、もう完了した作業のことをスパッと削除して切り替えるということができず、次の取るべきアクションを起こしづらくなってしまう んですね。
また、他の原因で言うと、行動予定が構造化されていないことによって、一日の流れや家事の流れが把握できず、1つの動作に取り掛かって、それが完了するまではできても、その次に何をすればいいんだっけ?となってしまい、行動を切り替えられず、時間がかかってしまうということにつながってしまいます。
まとめ
いかがでしたか?
今回はASDの疲れやすい原因9選というテーマでお話をしてきました。
- 感覚過敏
- 鈍麻
- 気疲れ
- 姿勢保持の苦手さ
- こだわりからくる完璧主義
- 反芻思考からくる精神疲労
- 想像性の苦手さからくる将来への不安
- 眠りが浅い
- 何をするにも時間がかかる
という9つを紹介しました。
また、この疲れやすさについては、次回以降に、ADHDの疲れやすい原因と、ASD/ADHDの疲れやすさについての対処方法をまとめて別の記事で紹介したいなと思っていますので、公開を楽しみにお待ちください。
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