伝えるための工夫、あなたはいくつできていますか?
こんにちは。
今回は、ASDの人へ伝わる話し方、会話の特徴7選というテーマでお話しします。
と悩んでいる人もいるでしょう。
発達障害という言葉自体は広まりつつあります。特性についても少しずつわかってきているという人も増えているかと思います。
しかし、それを 目の前の人にどのように応用すればいいかがわからないと、実際に人間関係を築いていくことは難しい です。
そこで今回は、ASDの人に伝わる話し方、会話の特徴7選というテーマでお話をしていきます。
この記事を読むと、ASDの人へどのように伝えると良いのかがわかります。
また、伝えるだけでなく、何があるとさらにわかりやすいかといった工夫についてもお伝えしますので、ぜひ最後までご覧になってください。
また、今回の記事の内容はこちらから動画で視聴することも可能です。
是非ご覧になってくださいね。
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なぜ話が伝わるのか
伝わる話し方について話す前に、そもそも話が伝わるのはなぜかということについて解説をします。
発達障害の中でも、ASD(自閉症スペクトラム)の人たちの中には、
- 人の気持ちを理解するのが難しい
- 空気を読むのが難しい
- 曖昧な表現を理解するのが難しい
といった特性がある方もいます。
一方、発達障害ではない人たちのことを指す言葉は、「定型発達」です。
定型発達の場合、ASDの人たちが苦手な「空気を読む」、「人の気持ちを想像する」、「ニュアンスや感覚といった曖昧な表現を理解する」は、 意識していなくても、脳が勝手に処理をして感じ取ろうとする力 があります。
「空気を読む」とは、周りの人の表情や仕草、状況などを読み取って判断することです。
ASDの場合はこれらが苦手で、話を理解できなかったり、状況によって判断することができず、周りの人へ伝わりにくいと感じさせてしまっているかもしれません。
ここまでは、なぜ話が伝わるのかについてお話をしました。
ASDの人への対応・伝わる話し方
ここからは、ASDの人へ伝わる話し方の特徴について解説をします。
ASDの人に伝わる話し方の特徴 1:要求を短く簡潔に伝える
1個目は、 要求を短く簡潔に伝える です。
ASDの方の中には、セントラルコヒーレンスの苦手さという特性がある方もいます。
セントラルコヒーレンスとは、入ってくる情報を、細部を犠牲にしても、より高次の意味に向けて整理統合し、全体的な文脈に沿って処理することを指します。
この苦手さがあると 全体像を把握することや、全体の中から要点を見つけ出すことが苦手 です。
伝わりづらい例でいうと、例えば、何か一つ行動をお願いするときにも、それをする目的や、それに至った背景、例え話やこういった場合はこうするけど、この場合になったらこうするといった場合分けについて話すなど、いろいろな情報を一気に話してしまうと、結局のところ、何が重要で、何が重要ではないのか。話された全体の中から、どの部分について実行すればいいのかがわかりづらくなってしまいます。
なので、伝え方としては、 シンプルに「これをやってください」とひとまず伝えて、必要に応じて情報を少しずつ補完していく方がわかりやすくなります。
ASDの人に伝わる話し方の特徴 2:優先順位を明確にする
2個目は、 優先順位を明確にする です。
ASDの方の中には、優先順位がわからない、優先順位をつけられないという特性がある方もいらっしゃいます。この特性がある場合、特に複数の業務を同時に抱えていたり、いくつかの案件があったときに、まず何から行えばいいのかを自分1人で判断するのが難しくなってしまいます。
なので、 伝える側から、今どのような業務を抱えているのかを把握した上で、どの業務から取り組めばいいのかが伝えられると、着手する業務が明確になり、トラブルを減らすことができる でしょう。
特に期日を明確にするとわかりやすくなり、行動しやすくなりますね。
ASDの人に伝わる話し方の特徴 3:図・表・イラスト
3個目は、 図・表・イラストなどを使って伝える です。
ASDの主な特性の中には、想像力の特性というものがありますが、これは言葉だけの情報から、イメージすることが難しいという特性です。
なので、その 想像力の苦手さを補完するために図や表やイラストを使ってイメージまで伝える と、伝える側が意図しているものとのズレが少なくなるでしょう。
ASDの人に伝わる話し方の特徴 4:直接的な表現で伝える
4つ目は、 直接的な表現で伝える、曖昧な表現・遠まわしな表現を避ける です。
先ほどもお伝えした通り、ASDの方の中には、言葉をそのままの意味で受け止めるという特性があります。また、曖昧がわからなかったり、人の気持ちがわからないという特性を併せ持つ場合もあります。
遠まわしな表現で言うと、例えば自分の仕事を手伝ってほしいときに、「あぁ今日も忙しいな〜。このタイミングで別の仕事の依頼が来たよ。終わりそうにないな〜」と、忙しさをアピールして手伝ってほしいことや、「残業しましょうか?」と言わせるように働きかけてくる方もいるでしょう。
この働きかけに対して、忙しいと言っている人の空気を読み取っているからこそ、「手伝いましょうか?」だったり、「一緒に残ってやりましょうか?」といった言葉掛けができるんですね。
ですが、 ASDの場合は、そういった相手の気持ちを汲み取って判断することが人によっては難しいため、忙しさをアピールするよりも、「この後少し手伝ってもらえますか?」や、「今日は残業できますか?」と直接的な表現で聞いた方がわかりやすく、判断しやすくなります。
ASDの人に伝わる話し方の特徴 5:何について話すか明確にする
5個目は、 何について話すかを明確にする です。
発達障害の方はよく、雑談が苦手だと言われると思うのですが、その原因はいくつかのパターンが考えられます。
雑談が苦手な理由の一つに、何について話しているのかがわからなくなるということがあります。
雑談というのは、いろいろな話が連続的に入れ替わっていくために、今何の話題について話をしているのかがわからなくなってしまうんです。この原因は、おそらく先ほど紹介したセントラルコヒーレンスの苦手さから発生していると思います。
そして、話題がどんどん入れ替わるのは、雑談だけでなく、仕事の話でも起こりうることです。
例えば、A社、B社、C社という3つの関係機関とのやり取りをどのように調整していくと良いかの話し合いをするときに、最初にA社の話をしていたはずが、いつの間にかB社の話に切り替わり、B社の話題からC社の事例の話になり、その流れからC社についても併せて検討するといったことが起こったりします。
このように連続的に話が入れ替わっていくと、今、どのテーマについて話しているのかが判断しづらくなってしまいます。
なので、「まずA社の話をする」という切り出しから話し、次に「では、B社の話をすると」というように、A社B社の 話題の入れ替わりを言葉ではっきりと示した方がわかりやすくなる でしょう。
ちなみに僕も今お伝えしていて、結構頭がこんがらがってきてるので、ホワイトボードを使いたい気持ちでいっぱいになっています。
ASDの人に伝わる話し方の特徴 6:冗談・ジョークを挟まない
6個目は、 冗談やジョークを挟まない です。
挟まないというよりかは、 冗談やジョークであることをしっかりと伝えるというのが大事 になります。今まで何度かお伝えしている通り、ASDの特性の中では、言葉を鵜呑みにしてしまう方もいるので、冗談やジョークで理解しづらくなってしまうことがありますね。
ASDの人に伝わる話し方の特徴 7:全体図を伝える
7個目は、 業務の全体図を伝える です。
これは、最初に言った「要求を短く簡潔に伝える」と相反する内容に聞こえるかもしれません。
ただ、今回、何度か話している通り、ASDの方は、業務や話の細部に焦点が行ってしまうばかりに、全体図がわかりづらかったり、重要なポイントがわかりづらかったりするという特性が、人によってはあります。
なので、「具体的にやってほしいこと」というのを伝えるときは、要求を短く簡潔に伝えることが大切です。ただそれだけだと、自分の仕事がどのような仕事に繋がっていくのかだったり、自分の仕事がどのようにお客様に繋がっていくのかがわかりづらかったりします。
そこで、 業務の全体図を伝える。できれば図解されていたりすると、担当している業務がどのように他の仕事やお客様に繋がっていくかがわかり、その仕事のポイントがわかったり、取り組み方が変化することにも繋がる かもしれませんね。
ここまではASDの方に伝わる話し方の特徴7つについて紹介してきました。
意識して行っているものは何かありましたか?
ASDの人への対応・伝えるためのさらなる工夫
ここからは、さらにこれがあるとわかりやすくなるというポイントを3つお伝えしますので、無理のない範囲で取り入れてみてください。
伝えるための更なる工夫 1:してほしい行動をメモ・メールで送る
1つ目は、 してほしい行動をメモ書きやメールで送る です。
指示する側としては、紙に書いたりメールに書くという負担がかかりますが、ASDの方は社会性の特性から、指示内容のメモを取った方がいいということがわからなかったり、重要なポイントや要点がわからなかったりします。
また、ワーキングメモリに苦手さがあると、話を聞きながらメモをすることができないんです。
なので、 指示する側の方から重要なポイントを紙に書いて本人に渡したり、文章に残るメールで送信すると、何が重要で、何をしてほしいのかがわかりやすくなる と思います。
伝えるための更なる工夫 2:テンプレートや見本を用意する
2つ目は、 テンプレートや完成見本を用意する です。
ASDの特性により、想像力の苦手さがあると、何をどのようにしたらいいのか、形のないものから形のある仕事へと実行に移すことが難しい場合が多いです。
しかし、 枠に情報を当てはめていくだけでいいテンプレートがあったり、どのようになると完成なのかの見本やイメージがあると、想像力の苦手さが補われてやることが明確になり、仕事を実行しやすくなる と思います。
伝えるための更なる工夫 3:場所・時間の区切り
3つ目は、 場所や時間の区切りを明確にする です。
これは、前回の記事で紹介した「構造化」というのを使うことです。
例えば、視覚的な構造化で言えば、パーテーションなどを使って、ここは作業する場所、ここは休憩する場所、ここは事務処理をする場所といったように、 場所とやることを物理的に区切ることによって、何をすればいいのかをわかりやすくする ことができます。
時間の構造化で言うと、 何について話すのか、大枠を最初に伝えたり、書いて示すとわかりやすくなる かもしれません。
例えばこの記事で言うと、
- テーマの紹介
- 話が伝わるとは何か
- 話を伝える7つの特徴
- 更なる3つの工夫
- まとめ
という流れでお話をしていくので、この流れを最初に伝えるということですね。
まとめ
いかがだったでしょうか?
今回は、ASDの人への対応、伝わる話し方・会話の特徴7選というテーマでお話をしてきました。
- 要求を短く簡潔に伝える
- 優先順位を明確にする
- 図・表・イラスト
- 直接的な表現で伝える
- 何について話すかを明確にする
- 冗談やジョークを挟まない
- 全体図を伝える
という話し方の特徴をお伝えしましたね。
また、更なる工夫として
- してほしい行動をメモ・メールで送る
- テンプレートや見本を用意する
- 場所・時間の区切り
という3つについてもお話ししました。
あなたにとって無理のないものから取り入れてほしいと思いますし、今回の内容で少しでも何か改善に繋がると嬉しいです。
次回は、ADHDの方に伝わりやすい話し方、会話の特徴について紹介していきますので、楽しみにしていてくださいね。
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