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発達障害(ADHD/ASD)は指示や会話を理解できない?!理解力の原因と対策3選

こんにちは。
今回は、ADHDの人が話を理解できない理由と対策というテーマで解説をしていきます。

  • 指示をされても何をすればいいのか、把握できない。
  • 忘れてしまってミスをしてしまう。
  • これって発達障害かな。

と悩んでいたりしませんか。

また、職場のADHDの同僚に対して、手順ややり方を指導しているのに、間違えたり、期日を過ぎたりする。何か対策はないかなと考えている方もいるかもしれません。

発達障害という言葉はメジャーになりつつありますが、その特性は職場の人はもちろん、家族や本人でさえ理解できていないことが多いです。
実は、発達障害の特性からくる 話を理解することの難しさ というのがあり、そのことからミスをしてしまったり、人間関係にも影響が出るという人が多いです。

そこで今回は、ADHDの人が話を理解できない理由と対策というテーマでお話しします。
この記事を読むと、ADHDの人がなぜ指示内容や話が理解できないのかがわかります。
記事の後半では、自分が理解できないときにできる対策というのと、伝えるときにできる対策をお伝えしていきますので、ぜひ最後まで読んでいってください。

また、今回の記事の内容はこちらで動画解説もしています。
是非ご覧になってくださいね。

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ADHD(注意欠如・多動性障害)の主な特性

まずはじめに、ADHD(注意欠如・多動性障害)の主な特性についてお伝えしていきます。

ADHDの主な特性とは、不注意、衝動性、多動性の3つです。
ただし、これら3つの特性全てが強く出るのではなく、一人一人によって特性の出方が違い、強く出る特性を優勢型といいます。

不注意優勢型の場合 だと、

といった困りごとがあったりします。

多動・衝動性優勢型の場合 だと、

といった困りごとがあったりします。

以上の3つの特性と、2つの優勢型があります。
しかし、これらはあくまでも主な特性であり、細かく分けていくと、様々な苦手さにわかれていきます。

また、多くの場合は、診断がADHDだけであったとしても、一部のASDの特性や一部のLDの特性を併せ持つ場合がとても多いように思います。
そこで、診断名がADHDだから、ADHDの特性だけを知るのではなく、ASDやSLDといった発達障害全体の特性を、まずは理解することが大切です。
ですので、この記事を最後まで見て、特性について知り、その中から自分の特性は何かなと自己理解に繋げていただければと思います。

ASD(自閉症スペクトラム)とSLD(限局性学習障害)の主な特性

次に、ASD(自閉症スペクトラム)とSLD(限局性学習障害)の主な特性についてお話しします。

ASD(自閉症スペクトラム)の特性

発達障害というと、アスペルガー症候群や自閉症という呼び方の方が馴染みがあるかもしれません。
しかし、現在は診断名がASD(自閉症スペクトラム)に統一されています。ASDの特性は3つあります。

1つ目は社会性の障害。
これは視線を合わせることが苦手だったり、相手の表情や身振りなどの非言語情報が読み取れない、といったことがあります。

2つ目は想像力の障害。
見えないものを思い浮かべることに苦手さがあります。また、興味関心が偏ったり、何かに強いこだわりを持つことも、この想像力の障害からきています。

3つ目はコミュニケーションの障害。
言語非言語のコミュニケーションに偏りがある障害です。言葉遣いが全て敬語だったり、会話をしているのに、文章を読んでいるかのような口調になったりします。

これら3つの特性を三つ組の特性と呼ぶこともあります。

また、これとは別に、感覚の過敏や鈍麻というものがあります。
感覚過敏とは、聴覚、視覚、味覚、触覚、嗅覚のいずれかが刺激を強く感じることを言います。

例えば、聴覚が過敏だと特定の音が苦手で、その音を聞くのがつらい場合があります。

一方で、鈍麻とは五感のうちのいくつかの反応が鈍いことです。

例えば感覚の鈍麻があると、自分が好きなことや楽しいことをしていたとしても、それによって受ける刺激が少なく感じます。その影響もあり、好きなことは何?と聞かれてもあまりないと答えることも少なくないです。

SLD(限局性学習障害)の特性

次に、SLD(限局性学習障害)についてです。
SLDの特性は、主に読む、書く、計算するなど特定の学習が難しい障害です。

以上が、発達障害のASD・SLDの主な特性でした。

個性の可能性

これに加えて覚えておきたいことは、特性ではなく、単純に技術的にできないということや成長過程で身に付いた個性の可能性もあるということです。
なので、どうすればできるようになるか、どうすればより良い未来になるか、という工夫や対策を立てて改善していくことや、自分自身を成長させていく姿勢が大切かなと思います。

ADHDの人が話を理解できない理由と対策

それではここから、ADHDの人が話を理解できない理由と対策についてお話をしていきます。
これまでに当事者の方たちから聞いてきた体験談からよく見られる3つの理由と、当事者・関係者の方ができる対処方法について紹介をしていきます。

ADHD 理解力の原因1:要点が分からない

1つ目は、要点が分からないです。
ADHDの人は、相手の話を聞いている中で、何が重要なポイントなのかがわからない場合があります。
これはいろいろな情報を取り入れた後に、それらをまとめて 全体像をつかむ力というのに苦手さがあったりする からです。

この苦手さがある場合には、指示を聞いている中で重要なポイントがわからないので、メモはしているんだけど、相手が言っている内容を全てメモしているということがあります。
さらに、その取ったメモを読んでも、結局何が重要なのかがわからないため、自分が何をしたらいいんだろうかというのがわからなかったりします。

ちなみに重要なポイントがわからない人は、伝えるときにも特徴があります。
それは説明がすごく長くなるということです。話を伝えるときにも重要なポイントがわからないので、自分が持っている情報をできるだけ伝えようとしてしまいます。
それで話が長いとか、説明が長いと言われてしまうことがあるんですね。

ADHD 理解力の原因2:情報量が多過ぎて分からない

2つ目は、情報量が多すぎて分からないです。
ADHDの人でも、ワーキングメモリに苦手さがあると指示の内容が処理しきれずに理解できなくなってしまうことがあります。

ワーキングメモリとは、情報を一時的に保管しながら別の情報を処理したり、判断したりする脳の機能のことです。情報の一時保管については、短期記憶とも呼ばれています。

これが苦手な場合、口頭指示で3つから4つをまとめて指示が出されると、そのうちいくつかが抜けてしまうということが起きてしまいます。

また、情報も一時保管はできるけど、処理が苦手ということもあります。
この場合、入ってきた情報は覚えているんだけど、必要がなくなった情報の処理ができなくなります。そうなると頭の中が、あれもしなきゃ、これもしなきゃとなってしまいます。
このような状態になると、すぐに終わることでも、焦る気持ちが出てきてしまいます。
また、パニック状態になったり、頭が真っ白でフリーズしてしまうというようなこともあります。

ADHD 理解力の原因3:あいまいな指示がわからない

3つ目は、あいまいな指示がわからないです。
ADHDの人の中には、言葉の通りに受け止めるという特性がある方もいます。

この特性がある場合、これそれあれといった「こそあど言葉」で伝えられても、どれのことなのかわからないことがあります。
また、「ちょっと多め」とか「適当に」とか、「なるべく早く」といった言葉も人によって定義が違ってくるため、指示した人が求めているものを再現するのが難しくなってしまいます。

こういった場合に、自分から質問するというのができるといいんですが、想像力が苦手だと質問が思い浮かばないこともあります。
また、ADHDの人でも失敗体験があって自己肯定感が低い人だと

質問をすることが時間を奪って迷惑をかけてしまう

と考えて相談できないことが多いです。

ここまででお伝えしてきた内容が、ADHDの人が話を理解できない原因で、特に職場で起きている中でも判断が難しいものです。

対策について

それでは最後に、今日お伝えしてきた内容の対策についてお伝えしていきます。

ADHD 理解力の対策1:要点が分からないことへの対処

まず1つ目の要点がわからないという特性への対処をお伝えしていきます。

あなた自身が障害の当事者の場合、 素直に質問するというのが大事 だと思います。要件の理解については、あなたが頑張るよりも伝えた人から直接、何が重要なのか、メモするポイントはどこかを聞いた方が早いと思います。
仕事では、時間も大切な資源なので、効率を上げるためにはこの方法がいいと思います。
ただし、人間関係などによっては聞けないこともあるかもしれません。そういった場合は100文字でまとめるとか、5行でまとめるなどメモした内容を省く作業をするといいと思います。
たっぷりとメモした後に省く作業をすることで、重要な情報のみに絞り込むことができると思います。

また、一緒に働く人がADHDで、あなたは指示をする人の場合、 できるだけ端的に伝えるといい と思います。してほしいことがあれば、これをしてほしいと伝えます。
通常であれば、そこに至った経緯や狙いといった背景も伝えることもあるかもしれません。しかし、情報が多くなりすぎて、要点がわからなくなることがあるので、何をするかということだけを伝える、ということですね。

他にも、 復唱してもらうというのもいい です。質問などができない人だとしても、復唱をさせることで、ADHDの本人がどう理解したかを知ることができます。ズレがあれば、その場で端的に伝えましょう。

ADHD 理解力の対策2:情報量が多すぎることへの対処

次に、2つ目の情報量が多すぎて理解できないという場合の対処です。
あなた自身にこの特性がある場合、 まず落ち着く時間をもらえるといい と思います。

ワーキングメモリに苦手さがある場合、話を聞きながらメモをすることも苦手なことが多いです。
そのため、話を聞いている途中でメモを取ってもいいですかと確認し、メモを取る時間をもらえると安心できるかと思います。

また、もしあなたの仕事が選択式で管理できるものの場合、項目を選んでいくだけのチェックシートがあるといいです。

例えば電話応対が仕事の場合、必要な情報の枠組みを作っておいたり、取次ぎ先の担当を事前に洗い出しておいて、丸で囲うだけにしておくなどですね。

また、一緒に働く人にこの特性があり、あなたは指示する人の場合、 メールで指示をしたり、箇条書きなどの簡単なメモをして渡すなどした方がわかりやすい 可能性があります。
先ほど伝えた通り、ワーキングメモリが苦手な場合、自分でメモを取ることにも時間がかかります。
ですので、後から見返せるメールやメモ書きを用意して渡すことで、作業内容が把握できます。

それ以外ですと、 フローチャートを用意する とわかりやすくなると思います。フローチャートがあることで全体像がわかりやすく、どのような工程で行えばいいかがわかります。作業の内容も明確になりますね。

ADHD 理解力の対策3:あいまいな表現への対処

次に、3つ目の曖昧な表現がわからないという場合の対処です。
あなた自身にこの特性がある場合、 具体化するために質問をするのが大切 です。具体化というと難しく聞こえるかもしれませんが、よく言われるのは、6W3Hで質問をすることです。

6W3Hとはいつ・どこで・誰が・誰に・何を・なぜ・どのように・どれくらい・いくらで、の英語の頭文字です。特に気をつけたいのは、いつまでにという期日を確認することですね。

また、「例えば」という質問もできるといいと思います。

「できるだけ早めに資料を作ってね」などと指示をされたときに、

例えば、今日の夕方17時までに提出でも大丈夫ですか?

のような質問をします。
それで問題なければ、その時間までの完成を目指しますし、それが遅い場合は指示した人から、具体的な時間を聞けると思います。

一緒に働く人に、この特性があり、あなたは指示をする人の場合、曖昧な表現を避けるに限ります。

ただし、全ての仕事が具体的にできるかというとそうではないですよね。それができるとしても、具体的に伝える時間がもったいないです。
なので、仕事の締め切りが来る前に、進捗の確認をする機会などがあるといいと思います。
あなたが望む期日になって、間に合わなかったとなっては大変ですので、そうなる前で間に合ううちに、どれくらい進んだかを確認できるといいと思います。

まとめ

それでは今回のまとめです。
今回は、ADHDの人が話を理解できない理由と対策についてお話ししました。

話を理解できない理由としては、

の3つを紹介しました。

そして、あなた自身がこれらの特性がある場合にできる対処としては、

ということをお伝えしました。

また、あなたと一緒に働く人が、これらの特性があることについては

ということを紹介しました。

この他にも、発達障害や心理学に関する記事を紹介しています。是非そちらもあわせて読んでみてくださいね。

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