こんにちは、冬より夏の方が好きなおとうふです。
ASD(自閉スペクトラム症)の方の中には、「報連相」が苦手な方が多いです。そしてその主な原因は、想像性に関することが多いかと僕は見ています。
ただし、一口に想像性と言っても現れ方は人それぞれに違います。そして報連相ができないことは、仕事の関係者にとって信頼関係を失う重大なミスにも繋がりかねないことです。
そこで今回は、「ASDの人が報連相を苦手と感じる原因7選」というテーマで解説をしていきます。今回の内容を見ることで、どういった特性から報連相が苦手なのかということが分かります。
後半では、報連相を上手にしていくための改善策についてもお伝えしていきます。今回の記事を見ることによって、報連相のタイミングが分かったり、職場の方とスムーズにやり取りをするというようなことにつながっていくと嬉しいなと思いますので、ぜひ最後までご覧になっていってください。
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Contents
ASDの人が報連相を苦手と感じる原因7選
1. 重要性が分からない
ASDの方の中には、優先順位の把握が苦手という特性がある方もいらっしゃいます。仕事をしていると日々状況が変化したり、あるいは自分が行っている仕事がうまく進んでいくこともあれば、そうではないような状況の時もあるかと思います。
そして優先順位の把握が苦手な場合に、こういった状況の変化だったり、自分の進捗状況について何を伝えたらいいのか、これは重要なことなのかどうかが分からなくなってしまいます。
つまり「優先順位が分からない」と一般的に言われますが、「優先の度合い、優先度が分からない」とも言えるんですね。そのため、上司からすると「教えて欲しかった出来事」というのも、自分自身からすると「伝えるほどでもないこと」という認識をしていたり、そもそも気に留めていなかったというようなことが起きたりします。
2. 見通しが立たず報連相が抜けてしまう
ASDの方の中には、スケジュールを立てることに苦手さを感じていたり、あるいは段取りを組むことが苦手だという方もいらっしゃいます。
このため、自分が今取り組んでいる仕事の量に対して、どれくらいの時間や期間があれば終わるのかという見通しが立たないことがあります。
また、他の人からすれば順番立てて取り組むことでスムーズに終わらせられるような仕事の内容だったとしても、段取りが苦手なことから仕事の進め方自体がうまくいかず、思っていた以上に時間がかかってしまったということも起こり得ます。
これらのことから、見通しが立たないことで、自分自身としては終わると思っていた仕事の量や期間だったとしても、実際に仕事を進めていくと思った以上に進まずに、期限ギリギリになって終わらないことに気づいてしまい、その結果、報連相をする間もなく期日が迫ってしまっていたということが起こる場合があります。
3. 誰に何を伝えたらいいのか想像がつかない
ASDの特性の中に「想像性」の特性というものがあります。この特性は文字通り想像性について何か想像することに対しての苦手さがあるということなんですが、仕事に関して言うと、先ほど紹介した「見通しが立たない」といったように、現状が続くとどうなってしまうのかというような想像ができないということにつながってしまうこともあります。
そのため、例えば現状がそのまま続いた場合に良くない結果になりそうだというようなことが想像がつかず、結果そのまま放置してしまうことによって、良くない結果にそのまま繋がってしまうという場合があります。
また、想像性の特性に関連して、必要な情報を誰に伝えればいいのか、その情報に関係する関係者が想像がつかないという場合もあります。
例えばスケジュールの変更が何かあった時に、自分は直接その変更があったことを知ったので、自分自身に関して言うと分かったとなるんですが、一方でその変更が起きたことを他にも伝えた方がいい人たちという相手が想像がつかず、自分だけがその情報を持っていて、それによって関係のある人たちに自分が知ったその情報を伝えるということが抜けてしまうということが発生してしまいます。
これによって、自分だけが知っていた、他の人へ伝え忘れていたということが発生してしまうことがあります。
4. 相談したら怒られるという凝り固まった想像をしている
大人になってからASDやADHDといった診断がつく、いわゆる大人の発達障害と呼ばれる方たちは、学生時代に強い失敗経験をしてしまったという方はよくいらっしゃいます。
その失敗経験についても1度のみならず何度も繰り返してしまったという場合や、どのような環境に行ってもうまくいかなかったというような体験をされた方もいらっしゃるかと思います。
そしてその結果、自己肯定感が低くなってしまったり、あるいは今まで何度も怒られてきたという体験が積み重なってしまっている場合もあります。
その結果から、仕事の相談をすることに対しても、
- 相談をすること自体が相手の時間を奪ってしまう行為だ
- 迷惑をかけてしまうんじゃないか
- 相談することで怒られてしまうんじゃないか
といったように想像をしてしまって、その結果として相談すること自体をできるだけしないように過ごしているという方もいらっしゃいますね。
5. 何に困っているかまとめられない
ASDの方の中には「セントラル・コヒーレンス(中心性統合)」と呼ばれるものの苦手さがある方がいらっしゃいます。
セントラル・コヒーレンスとは、「入ってくる情報を細部を犠牲にしてもより高次の意味に向けて整理統合し、全体的な文脈に沿って処理すること」というように言われるんですが、これはつまり、物事の詳細ではなくて、それらをまとめる力のことを指すんですね。
そしてセントラル・コヒーレンスが苦手ということは、その物事をまとめることが苦手ということにつながるんですね。この苦手さがあることによって、結論は何かということを考えたり、様々な情報がある中で何を伝えるべきで、何については伝えなくても良いのかということが把握できないことにつながってしまうこともあります。
話の要点を掴むことが苦手だったりする方は、このセントラル・コヒーレンスの苦手さもある可能性があり、自分が知っている情報をできるだけ相手に伝えようとするんですが、まとまっていないばっかりに「何を言いたいのかわからない」と言われることにつながってしまうこともあります。
6. 相談していいタイミングが分からない
ASDの方の中には、非言語の情報を読み取ることが苦手という方がいらっしゃいます。
相手の非言語情報を読み取ることが苦手なため、例えば上司がパソコンを使って作業をしている時に、その様子を見て今忙しいのか忙しくないのかというのが分からず、その結果声をかけていいのか、それとも今はかけない方がいいのかというのも分からないことで、結果として間が悪いタイミングで話しかけてしまったり、逆に上司が余裕がある状態なのに声をかけられないまま時間が過ぎていってしまったということにつながる場合があります。
特に声をかけない傾向の方は、上司のことをいつどんな時に見たとしても
- 「忙しいんじゃないか」
- 「今声をかけたら迷惑なんじゃないか」
- 「いいタイミングがある時に声をかけよう」
というように判断をして、結果その自分が思ういいタイミングというのがいつまでも分からずに、そのまま時間が過ぎてしまうということがあります。
7. そもそも相談の仕方がよく分かっていない
ASDの特性の中には社会性の特性があり、その中には年齢にあった社会的状況の気づきや振る舞いをするというのが難しいということがあります。
つまり社会人として生活していく中では、報告や連絡、相談の仕方というのはそもそも身についていることが求められるということがあるんですが、その求められることを把握できていないまま今に至っているという場合があります。
この場合、報連相の仕方を知るというのはもちろんですが、なぜ報連相が必要なのかであったり、それらをしない場合にどうなってしまうのかといったことについても合わせて知っていくと改善されると思いますね。
はい、いかがだったでしょうか。ここまではASDの方が報連相が苦手な原因7選についてお伝えしてきました。
ここからは報連相とはそもそも何かというのを簡単にお伝えした後に、改善策についてお伝えしていきます。
報連相とは何か?
報告は、自分の仕事の進捗や結果を上司や関係者に知らせることです。任されたタスクが完了した後や途中経過について、上司へ状況を把握してもらうために行うものです。
連絡は、計画の変更、会議のスケジュール、その他のチームのメンバーや関係者と共有する必要がある情報を伝えることです。そしてこれは日常的に行われることが多いですね。
相談は、意思決定や問題解決の際に、アドバイスや意見を求めることです。どうしたらいいか判断が難しい状況であったり、重要な決定をする前に上司や経験豊富な職員との間で行うと良いものですね。
そしてこれらを踏まえた上で、改善策についてお伝えしていきます。
報連相の改善策
1. 報告の予定日・進捗の報告日を決めておく
先ほどの苦手な原因でお伝えした通り、ASDの方は見通しが立たなかったり、スケジュールを立てることの苦手さがあったり、想像がつかなかったりして、「思っていたよりも仕事が進んでいなかった」「期日のギリギリになって気づいてしまった」ということがあります。
逆に言うと、仕事の途中の段階でその遅れていることに気づくことができれば、仕事を急いだり他の人にも手伝ってもらうということもできるようになると思います。
ただし、自分で気づくことは苦手だったりするかもしれないので、だからこそ上司へ進捗の途中報告をすることによって、上司が気づいて期日に間に合うようにすり合わせをしてもらうような関係性ができるといいと思います。
これは特に1週間や2週間、1ヶ月といった少し期間がある仕事というのを任された時に行うと効果的だと思います。1週間以内に終わらせる仕事であれば、中間の3日目や4日目に進捗具合を報告したり、あるいは毎日仕事終わりのタイミングで「今日はここまで進みました」という報告を上司の方へ伝えると、進捗の共有はもちろん、期日に間に合うための調整も手伝ってくれるかもしれません。
2. 報連相の必要性をチェックする時間を作る
先ほどお伝えした通り、報連相の中でも特に連絡というのは、変更があった場合に随時日常的に行う必要があるものです。
しかしASDの方の中には、その優先順位、優先度合いを把握することができなかったり、あるいはその情報に関係する人が誰なのか想像することができなかったりするという場合があります。
しかしだからこそ、自分自身が知った情報に対して「この情報は上司やチームにとっても重要なものだろうか?伝えた方がいいものだろうか?」ということを自問自答し、確認する時間を取ることによって、自分が知った情報について改めて報連相をした方がいいのかどうか精査することができます。
もし上司やチーム関係者に連絡した方がいいと思った情報が見つかったとしたら、それに合わせていつ言うのかについても合わせて考えておくと、先延ばしをしなくて済むようになるかなと思いますね。
3. 5W1Hで事前に考えPREP法で伝える
ASDの方の中には、セントラル・コヒーレンス、つまり情報をまとめることが苦手だという場合があります。しかし仕事においては、自分が知っていることを次から次へと伝えるための時間というのはお互いになかったりすることもあると思います。
そのため、できるだけ端的に伝えるためにも、報告や相談をする前に5W1Hなどで事前に情報を整理してみるといいと思います。
5W1Hとは「いつ・どこで・誰に・何を・なぜ・どのように」について考えることですが、これらに関連することで、例えば「誰から誰へ」「どこからどこまで」「いつからいつまで」といったような言葉に変えていくと、実は様々な情報があるということに気づけると思います。
また、PREP法というのは「Point(要点)」「Reason(理由)」「Example(事例)」「Point(結論)」の頭文字を取ったもので、簡単に言うとまず要点を伝えてその次に理由を伝える、その後に事例や体験談について伝え、最後にもう一度結論を伝えるようなプレゼンテーションの方法です。
今回の記事では全て伝えることができないんですが、またの機会でお伝えできればなと思いますので、それまでにぜひご自身でも調べてみてくださいね。
はい、いかがだったでしょうか。今回はASDの方が報連相を苦手とする原因7選というテーマでお伝えをしてきました。
思考が変われば未来は変わります。あなたがもし今「報連相が苦手だ」というように考えていたとしても、「相談をすることは迷惑ではない」という考えが身についたり、あるいは事前にどのように伝えるかまとめて考える力というものが身についていった未来には、報連相が十分にできるあなたという未来に繋がっていくこともできるかなと思います。
あなたはどのように考えますか?ぜひコメント欄で教えてくださいね。
それでは最後までご覧いただきありがとうございました。
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